2025年12月の木村病院 院内広報誌【けいめいだよりNo.113】をお届けします。
【今月のコラム】RO・SU・I(老衰)について

いよいよ2025年も最後の月になりました!今回は、RO・SU・Iをテーマに、当院の内科医がコラムを寄せました。
最近、著名人が「老衰」で亡くなったという報道をよく耳にする。下記に2008年と2022年の日本人の死因の円グラフを示す。
2008年(平成20年)の死因

2022年(令和4年)の死因

1位の悪性新生物(いわゆる癌)、2位の心疾患に変わりはないが、老衰による死亡数が脳血管疾患を上回り3位になった。 厚生労働省が公表している人口動態統計月報年計(概数)によると、2018年以降、老衰が第3位を維持している。なぜ老衰が急に増えたのだろうか。
医学の進歩と日本の優れた医療保険制度により、平均寿命が延びたことが影響していると考えるが、それだけではなく、家族や医療従事者が「老衰」を受け入れる様になってきたからだと思う。
老衰とは
「老衰」とは、老いとともに生命維持に関わる臓器の機能が低下し、生命活動の維持が困難になることである。厚生労働省が発行する「死亡診断書(死体検案書)マニュアル」では、「死因としての『老衰』は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる」と記載している。
「ただし、老衰から他の病態を併発して死亡した場合は、医学的因果関係に従って記入することになる」とある。すなわち老衰による誤嚥性肺炎と書いてもいいのである。 直接死因が誤嚥性肺炎でその原因として老衰があるということである。しかし、老衰の確立された診断基準はなく、老衰があるかどうかは看取った医師の判断による。
老化のメカニズム、老衰の本質についてはまだよくわかっておらず、100歳の老衰もあれば80歳の老衰もある。私が医師になって間もない頃は、死因に「老衰」と書くことに抵抗を感じる医師が多かった。また、家族も「老衰」を死因とするのを嫌がる傾向にあった。
その後、時を経て、日本は急速に少子高齢化が進み、平均寿命と健康寿命(平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態を差し引いた期間)の大きな乖離(10歳以上)が問題となっている。介護する家族の精神的・経済的な負担も無視できない。
ヤングケアラー(18歳未満の子どもがケアを担う)、ビジネスケアラー(働きながら在宅介護をする)、ダブルケア(子育てと親の介護を同時に行う)も増えている。そういった状況の変化から、過度な延命治療に対する考え方も変わり、家族、医療従事者が「老衰」を受け入れる様になってきたのだと思う。
最後に、「老衰」という言葉に、「生き切った」というある種清々しさを感じてしまうのは私だけだろうか。(木村病院内科医 堀米秀夫)
栄養科だより ~冬の乾燥対策~

健康教室のお知らせ
木村病院では、地域の皆さまがいつまでも健康で元気に生活できるようにという想いを込めて、健康に関連するテーマで毎月【健康教室】を開催しています。参加は無料・予約制です。お気軽にご参加をお待ちしております。
2025年12月の健康教室
日時:12月25日(木)13時~14時
内容:認知症について
講師:作業療法士
場所:木村病院 事務棟4階会議室
参加方法:木村病院1階受付および電話(052-781-1119)にてご予約ください。
認知症カフェのお知らせ
木村病院認知症カフェ【み♡まもるCafe】は、認知症のご本人やご家族が、どなたでも気軽に参加できる憩いの場所です。お茶を飲みながら、いろいろなことを相談できます。皆様のお越しをお待ちしております。
2025年12月の認知症カフェ
日時:12月11日(木)14時~16時
内容:クリスマス会
場所:木村病院 事務棟4階
参加方法:木村病院1階受付および電話(052-781-1119)にてご予約ください。
※参加費200円を頂戴しております。
12月の診療体制

以上、2025年12月の院内広報誌【けいめいだよりNo.113】をお届けしました。紙面は木村病院外来1階でも配布しております。






