【院内広報誌】けいめいだよりNo.95【2024年6月号】

けいめいだより

2024年6月の木村病院 院内広報誌【けいめいだよりNo.95】をご紹介します。

【けいめいだより】今月のコラム

機能性ディスペプシアについて

機能性ディスペプシアとは?

機能性ディスペプシアとは、器質的疾患(食道炎、胃食道癌、胃炎、胃十二指腸潰瘍など特定できる病気)が無く、胃内容物の食道への逆流も無いにもかかわらず、慢性的に心窩部(みぞおち)周辺の痛みや胃もたれなどの症状が認められる症状とされます。

よく知られている逆流性食道炎は主に酸性の胃内容物が食道内に逆流して心窩部(みぞおち)周辺の痛みや胃もたれが起こる疾患で機能性ディスペプシアとは異なります。しかしながら、実際には両者を厳密に区別することはできません。

疫学

罹患率(疾患にかかっている頻度)は、日本人全体で11~17%といわれています。一方、上腹部痛で病院を受診した患者さんの45~55%が機能性ディスペプシアであったともいわれており、比較的ポピュラーな疾患です。一般的に男性より女性が罹患しやすく、また症状も治りにくい傾向にあるといわれています。

原因

はっきりした原因は現時点では不明です。一説には胃の運動障害、胃の形態異常(瀑状胃など)、胃酸分泌異常、内臓知覚過敏、ヘリコバクターピロリの感染、感染性腸炎の感染歴、生活様式(飲酒、喫煙、高脂肪食の過剰摂取、ストレスなど)、遺伝的因子などが関係していると考えられています。

近年、感染性の胃腸炎が起こった際の腸内細菌叢の変化により、胃腸粘膜の状態が変化する(微小炎症や物質透過性が亢進する)事が原因ではないかとの研究報告もでています。

診断

診断は、国際的にはRomaⅣという国際診断基準(表1)に基づき問診により行います。

日本での診療ガイドラインでは、もっと単純に慢性的に心窩部痛や胃もたれを呈する疾患全般とされ、RomaⅣのように細かく定義されてはいません。

また最近ではAIを使った診断方法が検討され始めており、胃カメラによる十二指腸での微小炎症の状態
の評価や食事の際の映像を見た際の脳活動性を評価することで診断しようという研究も進められています。

なおいずれの診断でも確定診断には、胃カメラ、腹部超音波検査、腹部CTなどを行い、食道、胃、肝臓、膵臓、胆嚢などに器質的疾患(病気)がないことを確認する必要があります。

治療

治療は、酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬など)や消化管運動改善薬(モサプリド、イトプリド、メトクロプラミド、アコチアミドなど)、漢方薬(六君子湯など)を組み合わせて行います。一方でピロリ菌感染が原因のピロリ菌関連の機能性ディスペプシアでは、ピロリ菌の除菌治療をまず行います。

それらに加えて症状を悪化させないためには、規則正しい生活(睡眠時間を確保する、夜遅くの食事を
避ける、過度の飲酒喫煙を避ける、ストレスをためないなど)
が重要です。食事も油物の多い食事、香辛料等の刺激物を避けることが望ましいと考えられています。

今月の栄養科だより

ヨーグルト効果

ヨーグルトは、乳酸菌や酵母によってミルクを発酵させて作る発酵食品です。ヨーグルトに使われている主な乳酸菌は、糖類を分解して乳酸を作り出す細菌です。ヨーグルトによく使われる菌は、風味と組織を主に作る、ブルガリクス菌とサーモフィルス菌です。健康効果を有する、ガセリ菌とビフィズス菌などがあります。ビフィズス菌は人の大腸に最も多くすんでいます。現在ではガセリ菌など、体に良い作用をもたらす菌が、数々見つかっています。

ヨーグルトの起源

ヨーグルトの起源は、牛やヤギが家畜化され、そのミルクが食糧として利用されるようになった頃と推定されています。風土の違い、乳や菌の種類、作り方の個性により、その土地その土地に特有のヨーグルトが育まれてきました。

一方、日本では飛鳥時代、朝鮮半島から仏教とともに搾乳の知識が伝えられ、仏典にも記述のある「酪(らく)」「酥(そ)」「醍醐(だいご)」といった乳製品が作られました。これらはヨーグルトやバター、チーズなどの原型のようなものと推定されます。ヨーグルトとして広く親しまれるようになったのは、昭和の後半になってからです。

ヨーグルトと乳酸菌の主な働き

  • 腸内菌叢(ちょうないきんそう)を良好なバランスに保ち、消化を促進し便通を整える。
  • 乳酸発酵により、タンパク質やカルシウムなどの消化吸収を促す。
  • ヨーグルトの風味をよくする。
  • 腐敗菌を抑えヨーグルトの保存性を高める。
  • 一部の乳酸菌は、健康機能(内臓脂肪低減など)を示すことが、確認されている。

ヨーグルトの効果をあげるには?

  • 血糖値の上昇を抑えるなら朝食前
  • 腸内環境を整えたいなら夕食後
  • 腸のゴールデンタイムは、起床から15時間後から19時間の間の時間帯。善玉菌が効率よく働いて、腸内環境が整いやすくなる
  • 1日の摂取量目安は100~200g

健康教室のお知らせ

木村病院では、地域の皆さまがいつまでも健康で元気に生活できるようにという想いを込めて、健康に関連するテーマで毎月【健康教室】を開催しています。参加は無料・予約制です。お気軽にご参加をお待ちしております。

2024年6月の健康教室

日時:6月27日(木)13時~14時
内容:高齢者の困りごとを相談します~いきいき支援センターについて~
講師:いきいき支援センター職員
場所:木村病院 3階会議室
参加方法:木村病院1階受付および電話(052-781-1119)にてご予約ください。

認知症カフェのお知らせ

木村病院認知症カフェ【み♡まもるCafe】は、認知症のご本人やご家族が、どなたでも気軽に参加できる憩いの場所です。お茶を飲みながら、いろいろなことを相談できます。皆様のお越しをお待ちしております。

2024年6月の認知症カフェ

日時:6月13日(木)14時~16時
内容:うちわ作り~今年も暑い夏を乗り切ろう~
場所:木村病院 3階会議室
参加方法:木村病院1階受付および電話(052-781-1119)にてご予約ください。
※参加費200円を頂戴しております。

休診のお知らせ

2024年6月の休診情報
<整形外科>
6/14(金)門司Dr.休診

<内科>
6/1(土)岡田Dr.⇒瓜野Dr.
6/11(火)瓜野Dr.休診

6月の診療体制


以上、2024年6月の院内広報誌【けいめいだよりNo.95】をご紹介しました。紙面は木村病院外来1階でも配布しております。

タイトルとURLをコピーしました